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《ジェイサフィ》です。《ジェイド視点》
サフィールがすごく可哀想な事になっています。痛い系(?)です。
私は貴方を愛していました。
貴方も私を愛していました。
私はそれが快感でした。
故に―――
〝You were loved. 〟
「ジェイド!」
銀色――サフィールはパタパタと私に駆け寄る。私はそれに振り向かず、足を速めた。それでもまだサフィールは性懲りも無く駆け寄る。いい加減鬱陶しいので一応立ち止まって振り返る。
「何ですか? ついてくるな、と言ったはずですが」
「何故です! 何故今更私を拒絶するのですか! 私を求めたのは貴方でしょう!?」
私の腕を掴んでサフィールは言う。
(何故? 分からない――私は――)
「私は、貴方を愛していました」
「だったら何故!」
「愛していた、それだけです。今は違う」
呆然、と立ち尽くして――サフィールは手に持っていた書類を床にばさばさと落とす。聞こえるのは――紙が床に落ち、重なり合う音と――サフィールの嗚咽のみ。やがて銀色も床に崩れ落ちる。
「馬鹿な貴方でも理解できたようですね――では会議があるので、失礼します」
くるりと向きを変え、そこに銀色だけを残して立ち去る。
「待って……くだ、さい……ジェ……イド」
嗚咽に交じったサフィールの声。振り返らずに立ち止まる。
「お願い……し、ます……さ、いごに……思い出を……」
その言葉を遮るように、サフィールの薄い唇に口付ける。
「ジェイド……」
「……今の私は貴方を愛せません。だから――優しくすることはできない」
それでもいいんですか? と問いかけるとはい、とサフィールは頷く。
私はサフィールを自分の執務室に連行した。
◆ ◆
「本当に良いんですね? 最後――ですよ」
「構いません、本当に私はこれで諦めますから」
と、サフィールは言う。だが目には涙を浮かべている。
(そんなに私の事を想って――馬鹿みたいだ)
仕方ない、と呟きサフィールをソファに押し倒して唇を首筋に落とす。そのまま胸、腹、と唇を滑らせ――。
「……っ、もう、良い……です。やめてください、ジェイド……」
サフィールの言葉に私は顔を上げる。訝しげにサフィールの顔を覗き込むと、その頬には涙が伝っていた。
(何故だ? して、と言ったのは貴方なのに――何故やめろなどと言う)
「サフィール」
銀色の名を呼び、その頬に触れようとする。だがその伸ばした手は銀色の手によって戻された。
「もう良いんです……充分、分かりましたから――」
嗚咽を含みながら、必死で言葉を続ける。
「前とは全然違う――本当に、もう愛してくれてないんだって……改めて実感しただけでした」
言って、銀色は起き上がり、私の下から出る。
そして執務室のドアノブを掴むと私に振り向き――
「さよなら、ジェイド」
それだけ言って立ち去った。
今更追いかける気にもなれなかった――大体追いかける気すら無かった。
なのに――この気持ちはなんだ? 分からない―――。
「は……アレも馬鹿ですが、私も馬鹿ですね」
今更――今更、想ったって――どうにもならないことは、自分が一番分かってる。
自分が求め、自分が突き放し、そしてまた求める――。
失って、やっと気付く。
自分はアレに溺れていた――失いたくなかった。
大事だからこそ、失わなければその大事さが分からない。
だが、失ったものは二度と戻ってこない。
ネビリム先生だって同じだ。
私は、あのときで懲りたはずじゃなかったのか?
「私は―――――馬鹿だ」
呟き、まだ銀色の温かみが残るソファに倒れこんで、涙を流す。
「ごめんなさい―――すみません」
出てくるのは、私を唯一愛してくれた銀色への謝罪の言葉のみ。
You were loved.
(私は貴方を愛していました)
It loves healing now.
(いえ、今も愛しています)
However, it was not told.
(ただ、それを伝えられなかった)
Please forgive such me.
(こんな私を許してください)
I'm sorry really.
(本当に、すみません)
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2007/11/25 琉嘉
ご め ん な さ い
大佐、何やっちゃってるんですか。
サフィール、可哀想じゃないですか。
大佐ー、本当は好きなんじゃないですか。
可 哀 想 じ ゃ な い で す か