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BL《ジェイディス》&死亡ネタなのでご注意ください。
それでも良いという方は下からどうぞ。
それでも良いという方は下からどうぞ。
《ジェイド目線》
「あの人たちは……死んでしまったのですね」
冷たい牢獄の中で、幼馴染は俯いて言う。細い糸のような銀髪にルビーのような眼。その眼からは一筋の涙が零れた。
「私は……あの人たちが、好きでした。家族のように、思っていました」
ねえ、と幼馴染、サフィールは私に問いかけた。
「あの人たちは、私を家族だと思っていてくれたでしょうか?」
ボロボロと、みっともないほどに涙を零しながら。時折ズズ、と鼻をすする音も聞こえる。
私はまだ、死を理解する事が出来ない。だから、サフィールの気持ちなんて殆ど分からない。でも、きっと、哀しいのだろう。痛いのだろう。苦しいのだろう。心の奥に、穴が開いたような。そんな感じなのだろう。
「ええ。もちろん……皆そう思っていましたよ」
そんな事、分からない。私には何も理解できない。でも、これ以上、サフィールを泣かせたくは無かった。
哀しませたくは無かった。
「そうですか……でも、もう私には誰もいない。唯一家族だと思えたあの人たちは―――皆死んでしまった!」
ドンッ、と置いてあった机を拳で叩きつけた。
嗚呼―――何故、こんなにも―――人は、脆いのだろう。
今すぐにでもサフィールを抱きしめて、安心させてやりたい。誰もいないなんて、もう言わせない。
それを邪魔するのはこの鉄格子。これさえなければ―――。
「サフィール、落ち着きなさい」
サフィールがこんなだからこそ、私が冷静にならなくてはならない。
私は静かにサフィールを宥めた。
「良いですかサフィール。貴方には誰もいないなんてことはありません。―――私がいる。それに、もちろん陛下だって。ガイラルディア達も―――貴方を大切に思ってくれる人なら、たくさん、いる」
一息ついて、続けた。
「貴方は一人なんかじゃないですよ。だからそんなに泣かないで下さい。貴方に泣かれると―――私まで泣きたくなる」
変でしょう、そんな感情は持ち合わせていないと言うのに。
嘲っても構いませんよ。私はサフィールが笑っていれば、それでいい。
「……ありがとうございます……ジェイド……でも、私はあの人たちを亡くしてから心に穴が開いたようで……その穴は、どうしても埋まらない」
まだ言うのか。そんなにあの六神将という仲間が大事だったのか。
それは―――私よりも? 私では、駄目なのですか?
「私では、駄目なのですか?」
口に出すつもりなど無かったのに。気づいたら声に出していた。
もういい。こんな鉄格子、焼ききってやる。
「雷雲よ、我が刃となりて敵を貫け―――サンダーブレード」
短く詠唱をし、譜術で鉄格子を溶かす。
何だ、最初からこうすればよかったのか。
「ジェイド!? 貴方、何を―――」
サフィールが驚いたような表情で私を見た。軽く微笑してサフィールの元へ歩み寄る。
「私では駄目なのですか? 私では―――代わりになれませんか」
サフィールの背中に手を回し、ギュッと抱きしめる。何かを言おうとしたその紫の唇を指で軽くなぞり牽制した。
「私は貴方を愛しています。ですから、貴方のそんなところを見るのは心苦しい」
「……ジェイド」
私の腕の中で、サフィールは言った。
「ジェイドは、あの人たちの代わりにはなれません。ジェイドはジェイドです。私はあの人たちが好きでした。それと同じように、ジェイドのことも好きです。いえ、愛していますよ」
なら、どうして―――
どうして―――貴方は私を求めない。
愛しているのに、何故―――
「あの人たちは、私の家族です。ジェイドは、私の愛すべき人です。今更愛すべき人を家族と思えと?」
にこ、と笑ってサフィールは言った。
なんだ、そういうことですか。サフィールのくせに―――
私もつられてフ、と笑う。
《サフィール目線》
か弱く、とても16歳とは思えなかった、アリエッタ。
ほぼ私の子とも言える導師イオンのレプリカ、シンク。
強がっていたが、本当はすごく優しかった、アッシュ。
寛大で、普通の父親のようだった、ラルゴ。
若いのにとてもしっかりしていた、リグレット。
そして、総長―――ヴァン。
皆、私を受け入れてくれた。禁忌に手を染めた、私を受け入れてくれる唯一の人たちだった。
皆、感謝しています。私を受け入れてくれて、ありがとう。
貴方方が亡き今、私はどうすれば良いのか。悩みました。
貴方方がいないのなら、私は生きる意味なんて無い。そう思いました。
でも、貴方方はいつまでも私の中で生き続けます。
さようならなんて言うべきでは無いのですよ、皆さん。
強いて言うのなら―――お疲れ様でした、ゆっくりお休みください。
先ほどまで私を捕まえていたジェイドの腕が離れていく。その手で私の顎を軽く持ち上げた。
軽く、触れるだけのキス。それから深く、深く堕ちて行く。
暗い牢獄の闇の中で、私たちは深く堕ちて行った。
━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━
2007/10/31 琉嘉
トリックオアトリート。ハロウィン。
外国でのお盆だと聞いてこんなネタに。っていうかハロウィンは楽しいんですよ?
日本のお盆みたいに暗くないんですよ?
ああ、なのに何故こんな……orz
「あの人たちは……死んでしまったのですね」
冷たい牢獄の中で、幼馴染は俯いて言う。細い糸のような銀髪にルビーのような眼。その眼からは一筋の涙が零れた。
「私は……あの人たちが、好きでした。家族のように、思っていました」
ねえ、と幼馴染、サフィールは私に問いかけた。
「あの人たちは、私を家族だと思っていてくれたでしょうか?」
ボロボロと、みっともないほどに涙を零しながら。時折ズズ、と鼻をすする音も聞こえる。
私はまだ、死を理解する事が出来ない。だから、サフィールの気持ちなんて殆ど分からない。でも、きっと、哀しいのだろう。痛いのだろう。苦しいのだろう。心の奥に、穴が開いたような。そんな感じなのだろう。
「ええ。もちろん……皆そう思っていましたよ」
そんな事、分からない。私には何も理解できない。でも、これ以上、サフィールを泣かせたくは無かった。
哀しませたくは無かった。
「そうですか……でも、もう私には誰もいない。唯一家族だと思えたあの人たちは―――皆死んでしまった!」
ドンッ、と置いてあった机を拳で叩きつけた。
嗚呼―――何故、こんなにも―――人は、脆いのだろう。
今すぐにでもサフィールを抱きしめて、安心させてやりたい。誰もいないなんて、もう言わせない。
それを邪魔するのはこの鉄格子。これさえなければ―――。
「サフィール、落ち着きなさい」
サフィールがこんなだからこそ、私が冷静にならなくてはならない。
私は静かにサフィールを宥めた。
「良いですかサフィール。貴方には誰もいないなんてことはありません。―――私がいる。それに、もちろん陛下だって。ガイラルディア達も―――貴方を大切に思ってくれる人なら、たくさん、いる」
一息ついて、続けた。
「貴方は一人なんかじゃないですよ。だからそんなに泣かないで下さい。貴方に泣かれると―――私まで泣きたくなる」
変でしょう、そんな感情は持ち合わせていないと言うのに。
嘲っても構いませんよ。私はサフィールが笑っていれば、それでいい。
「……ありがとうございます……ジェイド……でも、私はあの人たちを亡くしてから心に穴が開いたようで……その穴は、どうしても埋まらない」
まだ言うのか。そんなにあの六神将という仲間が大事だったのか。
それは―――私よりも? 私では、駄目なのですか?
「私では、駄目なのですか?」
口に出すつもりなど無かったのに。気づいたら声に出していた。
もういい。こんな鉄格子、焼ききってやる。
「雷雲よ、我が刃となりて敵を貫け―――サンダーブレード」
短く詠唱をし、譜術で鉄格子を溶かす。
何だ、最初からこうすればよかったのか。
「ジェイド!? 貴方、何を―――」
サフィールが驚いたような表情で私を見た。軽く微笑してサフィールの元へ歩み寄る。
「私では駄目なのですか? 私では―――代わりになれませんか」
サフィールの背中に手を回し、ギュッと抱きしめる。何かを言おうとしたその紫の唇を指で軽くなぞり牽制した。
「私は貴方を愛しています。ですから、貴方のそんなところを見るのは心苦しい」
「……ジェイド」
私の腕の中で、サフィールは言った。
「ジェイドは、あの人たちの代わりにはなれません。ジェイドはジェイドです。私はあの人たちが好きでした。それと同じように、ジェイドのことも好きです。いえ、愛していますよ」
なら、どうして―――
どうして―――貴方は私を求めない。
愛しているのに、何故―――
「あの人たちは、私の家族です。ジェイドは、私の愛すべき人です。今更愛すべき人を家族と思えと?」
にこ、と笑ってサフィールは言った。
なんだ、そういうことですか。サフィールのくせに―――
私もつられてフ、と笑う。
《サフィール目線》
か弱く、とても16歳とは思えなかった、アリエッタ。
ほぼ私の子とも言える導師イオンのレプリカ、シンク。
強がっていたが、本当はすごく優しかった、アッシュ。
寛大で、普通の父親のようだった、ラルゴ。
若いのにとてもしっかりしていた、リグレット。
そして、総長―――ヴァン。
皆、私を受け入れてくれた。禁忌に手を染めた、私を受け入れてくれる唯一の人たちだった。
皆、感謝しています。私を受け入れてくれて、ありがとう。
貴方方が亡き今、私はどうすれば良いのか。悩みました。
貴方方がいないのなら、私は生きる意味なんて無い。そう思いました。
でも、貴方方はいつまでも私の中で生き続けます。
さようならなんて言うべきでは無いのですよ、皆さん。
強いて言うのなら―――お疲れ様でした、ゆっくりお休みください。
先ほどまで私を捕まえていたジェイドの腕が離れていく。その手で私の顎を軽く持ち上げた。
軽く、触れるだけのキス。それから深く、深く堕ちて行く。
暗い牢獄の闇の中で、私たちは深く堕ちて行った。
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2007/10/31 琉嘉
トリックオアトリート。ハロウィン。
外国でのお盆だと聞いてこんなネタに。っていうかハロウィンは楽しいんですよ?
日本のお盆みたいに暗くないんですよ?
ああ、なのに何故こんな……orz
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